ハセツネ2018参戦記 その④ラスト

ゴールして無料で貰えるトン汁を食べたらやることがなく、駐車場に戻る。スマホを見るとKさんも15時間オーバーでのゴールだった。12-13時間位では行けるだろうと思っていたので、やはり苦しんだんだなって思う。寝ないで家まで運転して帰ろうとしたが、途中の高速道路で何度も意識が飛びそうになり、途中のSAに入って2時間くらい寝た。

 

レースから2週間経ち、色々な人のブログを読んでみたのだが、順調にスイスイ走ってたなんて人は皆無。みんな七転八倒しながら進んでいたようだ。こういうのを読むと、諦めないで良かったと思う。レース中は「なんで俺は本番に弱いんだ…」と情けなく思っていて「本調子じゃないんだからやめちゃいな」という悪魔の誘惑は常に頭の中にあったけど、これに屈して本当にやめていて、でも周囲のほぼ全員が同じような状態だったことを後で知ったら自己嫌悪が半端なかったと思う。

確かに思い返してみると、自分の周囲の人達は弱っていたけど力強かったし走れるところはキッチリ走っていた。明るくなってからゴールする人は、フルマラソンで言えば5時間近くかかるようなファンランの人なのかとスタート前は思っていたけれど、歩き方・走り方を見る限り、明らかにガチランナー達ばかりだった。みんな苦しんだ結果、あの辺りに居たのだろう。

 

自分が途中でやめなかったのは、まったくポジティブな理由ではなくて、単なる恐怖心。最低中の最低ラインとして何が何でも完走、這ってでも完走、という覚悟でいたのに、アッサリやめたくなる弱さとそれに負けた自分が後で許せなくなることは明らかで、それが怖くてとにかく前に進んだ。レース前にメンタルやられた時の為に用意した色々な言葉はどれも全く効果なし。今回のテーマソングはこれだ!と会場に向かう車の中で聞き続けたエレカシのEasy Goはレース中も頭の中でヘビロテしてくれたが、前向き過ぎて自分の状態と乖離しすぎていて直接的な効果はまるでなし。但し奥底を流れるエレカシの「男の痩せ我慢」的な感覚にはちょっとだけ励まされた。負け戦にだって美学があんだろーがよ!ってな感じで。(今になると意味わかんないけど)

 

レース後の体の状態は、翌日も特に筋肉痛などなし。レースで追い込めなかったのもそうだけど、この夏毎週のように山を登ったり降りたりしてきたことで、山の中30-50Kmくらい走っても全然筋肉痛にならなくなっていた。速くはなってないけど強くはなってると思った。これをどう速さに変換していくかが今後の課題。速さと言えばレース5日後に10KmTTをやってみた。43分40秒位。半年以上平地を速く走る練習を全然してないので今の実力的にもこんなもんだと思われ、全然普通に走れるじゃんと思っていたら翌日から身体の火照りが復活。でも飲み会が詰まっていて連日飲んでたら木曜日に会社で謎の激腹痛。早退して医者に行ったら胃炎でしょう、ストレスが溜まってたのでは?とのこと。精神的なストレスはゼロの自負があるので、ハセツネの負荷に酒を注入したとこで胃が悲鳴を上げたんだと思う。おとなしく今日まで3日間ずっと寝てる。枕もとでポカリ飲んでるけど普通においしい。何だったんだろう?

 

ハセツネのことを思い出すと、辛かった思い出は薄くなっていて、だからと言って楽しかったことはほとんどないんだけど「もうちょっとやれたかな?」という気持ちになっている。完走できる体力はもうあるので、スピードに特化した練習を1年やってみよう、水分は全部真水にして、ポカリとOS-1は粉末を持っていき適宜溶かせばいいじゃないか、とか考え始めている。

 

思い起こせば、俺の人生何事もすんなりいった試しがない。けど諦めずにしつこくしつこく粘る、負けたままで終わらせないことで何とかここまでやってきた。去年はリタイア、今年は18時間で完走。全く思い通りにはいってないけど、でも前進はしている。来年は選挙の関係で開催時期が遅い年。初めて寒いハセツネを走れる筈。来年こそは笑ってゴールできるように、頑張っていこうと思います。